ROOFが届けていきたいこと
青森県むつ市生まれ・神奈川県横浜市出身の佐藤航平。
メガバンクとベンチャー企業で勤務した後に、起業。2021年3月に「ボタンひと押しで本格豆乳が作れる」SOYMIL(ソイミル)の事業を始めて、昨年9月に第二段のSOYMILブレンダーPLUSをmakuakeで夜に出しました。
SOYMILでは単なるブレンダーやSOYMIL KIT(豆乳キット)の販売をするのではなく、今の生活との繋がりの中で「SOYMILを通して結果的に環境問題や社会問題の解決に向けて前に進んでいる」といった世界観を作っていくことを目的としています。
秋田の大豆畑で始まり、鹿児島の祖父との対話で決意
きっかけは2023年3月。秋田県大仙市にあるSOYMIL KITで用いる大豆の生産者さんから、茎や根を堆肥化した循環型農業の話を伺う機会がありました。その際に、植物が土に還って養分となり、次の生命に紡がれていくプロセスに興味を持ちました。
それから一か月後、鹿児島県鹿屋市にいる当時92歳の祖父に会いました。日の出から日没まで、祖父に代わって家に隣接する畑の草取りや枝打ちをしました。近隣住人の方が家の畑で獲れた野菜を届けたり、祖父が縁側にプランターを集めて育てようとしている光景を見たりする中で、植物は人を癒すだけでなく、人と人をつなげる媒介になることを実感しました。
また、私が畑の土に触れる中で祖父が植物を育てる理由が分かったような気がしました。数十年にわたって作り上げた肥沃な土壌は、祖父の楽しみや生き方を包み込む偉大な存在であり、これからも何らかの形で紡いでいきたいと感じました。
この時の体験が、SOYMILが単なる便利家電の物販ではなく「大切に紡がれてきた価値を時空を超えて伝達していけるブランド」として深化させる契機になったと同時に、SOYMILから派生したサービスのテーマを「土と植物」にしようと決意することに繋がりました。
島本微生物工業さんとの偶然で劇的な出会いで実現
このプロジェクトが実現できるのは、島本微生物工業株式会社さんとの出会いがあったからに他なりません。動画共有サイトに掲載している堆肥化のプロセスを紹介する動画を見た直後に、島本微生物工業さんの研究所へ訪問することを決めました。
研究員の黒木さんが、堆肥を使って肥沃になった畑を案内してくださる中で、家庭用サイズのコンポストとして世に出すことを決めました。
堆肥とは、有機物を微生物の力で分解したものであり。落ち葉、鉱物など多くの関係性によってつくられています。また、農作物をはじめすべての命の生と死を包み込む存在で、私たちの生活や文化を彩る土台となっています。
この土と向き合う体験をサービスとして形にするのがROOFの存在意義であり、生き方を変えるような経験を広げて前向きな社会を創り上げていくのが私の起業した理由と重なりました。
ROOFという名称の由来と目指す未来
祖父が縁側でプランターを集めて育てようとしていた光景が原点にあります。縁側は英語だとveranda(ベランダ)ですが、植物から距離の遠い都会において広まってほしいという想いで、屋上を意味する英単語のrooftop(ルーフトップ)から引用しています。更に、roofの語源となっている古英語のhrofは天空と訳すこともできます。仏教やヒンドゥー教で「空」の概念は「全ての始まり」を意味しています。
今回のmakuakeプロジェクトはコンポスト商品の単なる販売ではなく、今後の活動の起点として位置付けています。ROOFコンポストは、人と自然の関係を再定義していくことを目指しますが、手に取る一人ひとりの楽しみや喜びが集まることで「環境問題や社会問題の解決に向けて前に進んでいる」といった世界観を重ねていきます。その活動は単なる利益を生む手段ではなく、幸福な未来への方法論であると信じています。